花びら



「もし望んでいないキルアに無理矢理人殺しをさせていたのなら…お前を、許さない」


俺はその少年に触れようとした。
何故か、触ってみたかった。

確かに、キルアの言っていることも分かる気がする。
この少年は俺達が持ち得ない光の属性だ。
正反対のこの少年に惹かれるのも分かる。

少年は俺の指が届く直前に後ろに退いた。

もしあのとき

俺が触れたら、彼は壊れてしまっていただろうか?

光というものはは弱くて脆い。
俺が見る光はいつも、その後必ず消えてゆく。

この少年もそうなのだろうか。
この手で壊すことが出来る…?

触れてみたいと思うのは、
俺もまた、弟と同じように光に惹かれているんだろうか。


ここにはもう用が無いと、背を向けて歩き出す。
足元に咲いていた小さな花の花弁が、俺の靴に触れて落ちた。





End.