光の中へ






誰かが呼ぶ声がする。
暗闇の中から、無数の声がこだまする。
沢山の声が、俺に向かって何かを叫ぶ。

みんなどうしたの?
早くこっちにきなよ。
そっちは暗くて冷たいよ。
こっちに来たら暖かいのに。

「ゴン・・・無駄だよ◆
僕たちと君とは住む世界が違うんだ。
振り返らないで、そのまま進みなよ◆」

「いやだ。
皆を置いて俺だけ一人では行けないよ」

「ううん。
無理だよ。ほら。こっちに進めないだろう?」

「どうして・・・」

「だから、住む世界が違うんだよ◆
納得できなくても・・・君は行かなきゃいけない」

「俺もそっちに行きたいよ」

「駄目だよゴン。
僕はそんな君が好きなんだ◆
いつまでも、君は君のままでいて・・・」


俺は、大好きな人を、振り返り振り返り、
後ろ髪を引かれながら重い足を踏み出していく。
眩しい程の光の中へと、
一歩、また一歩。







End.