いつでも二人なら






さわさわと揺れる木々の梢から光が漏れ、地面に斑の模様を作っている。
街の喧騒から離れた小さな公園。
ここでは小鳥達も羽を休めて、皆口々に囀っている。

「たまにはこうやって過ごすのもいいね◆」

穏やかな午後。
俺とヒソカは、長いこと二人で木陰のベンチに座っていた。
不意に静寂を破って隣りに座るヒソカが口を開いた。

「こうして何もせずに時間を浪費するのも、一つの贅沢と言えるね★」

「うん、確かに、こうやって木々の中でぼーっとするのは久しぶりかもしれない」

俺はベンチに背を預けて再びうーんと大きく深呼吸した。
風が涼しくて気持ちいい。
夏の暑い日には木陰に座るのが一番いいんだ。
木の葉っぱが涼しい風を作ってくれるからね。
くじら島の森で遊んでる間に自然と気付いた発見だったけど、何故涼しいかを教えてくれたのはミトさんだった。

ミトさん・・・懐かしいなぁ。
久しぶりに会いたいな。
それに森の動物達にも。
そしてコンタにも・・・
皆元気にしてるだろうか。


「ゴン・・・? 眠くなったのかい?」


目を閉じて押し黙った俺にヒソカが問い掛ける。

「ううん。くじら島のことを思い出してたんだ。
皆元気にしてるかなぁってね」

「僕と一緒にいるのに、他の事を考えてるなんて、許せないな◆」

「えーそんなぁ; ヒソカだって何か考えてたんでしょ?」

「まあね★」

「じゃあ、おあいこじゃん!」

二人でクスクスと笑い合った。
こんな何気ない時間が楽しい。
好きな人と一緒だからだろうか。
とても満たされた気持ちになるんだ。

これってたぶん、凄く幸せな事なんだと思う。
彼さえ隣りにいれば、何時だって、何処でだって、満たされた幸せな時間になるんだ。






End.