君が好き







もう、ずっと前に諦めた・・・。
諦めたはずだったんだ。

だけど君はいつまで経っても眩しくて。
けれど僕には届かない。
憧れの存在にしかなり得なかった。


僕のことなんて本当は見てないんだろう?

なのにどうして僕の気持ちを掻き乱すんだ?
もう随分遠退いていたはずなのに、
どうして急に僕の心に入ってくる?

君は勝手過ぎるよ。

僕にはもう恋人だっているし、君も結婚していて子供だっている。

君が近寄って来なければ、僕は人並みの幸せを手に入れられるんだ。
お願いだから、僕を放っておいてくれ・・・。




「ユナン」



「ユナン・・・」



君の声が聞こえる。
もちろん夢の中だ。
君が僕を本当に求めるはずなんてないんだから。
そうやって僕は毎日夢にうなされる。


「ユナン・・・、最後にデートして・・・」


突然の事だった。
突然、彼女は僕を呼び止め、そう言った。
彼女の懇願の眼差しが、真っ直ぐに僕に突き刺さった。

胸が高鳴った。
君は卑怯だよ・・・。

僕は断らなかった。
悪魔が僕の心に顔を出した。









その夜、彼女と温泉で待ち合わせた。
禁じられた逢引。
夜も更けて、人通りがすっかり無くなった頃、彼女は現れた。
月の光に照らされて、
彼女は恐ろしく綺麗だった。

「ビーチェ・・・」

彼女はするすると服を脱いだ。

「うわっ」

一瞬うろたえたが、慌てて僕も服を脱ぐ。
はぁ・・・。
夢を見てるみたいだ。
綺麗なビーチェの肌。
僕の視線は彼女に吸い込まれていた。
最早逸らすことは出来なかった。

彼女は足先からゆっくり湯に入った。

「・・・ユナン。ユナンも早く来て」

凝視してしまう。
ビーチェの呼び掛けにやっと我に返って湯に浸かる。
彼女はゆっくりと移動し奥へ誘った。

「ユナン・・・」

まるで操られているかのように近寄った僕の頬を、彼女の濡れた手が撫でた。

「ビーチェ・・・・っ」

もう遅かった。
君が後悔したって僕は知らない。
悪いのは君だ。

抱き締めて、強引に唇を貪る。
彼女の舌を吸い、彼女の口内を、僕は侵食していった。
「んぅっ・・・」
彼女がもがいている。
知るもんか。
ここまで誘ったのは君なんだから。
「ユ・・・ンっ・・」
もう僕のものだ。君は。

ビーチェの口内が僕のものになると、次は耳、首、肩、そして胸・・・
全てを僕の舌で染めていく。
「・・・うぅっ・・・」

だけど一瞬お湯が波打って、僕を洗い流していった。


「泣かないでよビーチェ・・・」

「泣いてなんかないわ・・・」

「嘘」


僕は理性を取り戻したが、
今度はわざと、そそり立つ物を目の前に見せ付けた。
「あ・・・」

「ビーチェ。俺はこれで君を俺のものにしたいんだ」

明らかに怯えているのがわかる。

僕は力づくで足を開かせた。

「いやっ! やめてユナンっ!」

抵抗する彼女を、さらに広げようとする。

パシン!!

乾いた音が鳴り響いた。

「ユナンの馬鹿!!」


ビーチェは温泉を出ると、急いで服を着て逃げていった。
彼女の目は、大粒の涙を流していた。


・・・これでよかったんだ。
僕のことを嫌えばいい。
そうすればもう近付いて来ないだろう。
そして僕も幸せを手に入れる。



これでよかったんだ・・・。









































497年、ビーチェがユナンをデートに誘った時の話です。
日記と微妙に違うぞ?というツッコミは無しで・・・。
日記はビーチェの着色が入っているんです(笑)
こっちの小説の方を本気にして下さい。
たぶん続きます。
これじゃ暗すぎるよ・・・(汗)
二人の仲は戻るんでしょうか・・・^^;







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