孤独
―プレートを・・・取り返しに来たんじゃないのか・・・!―
―ううん◆褒めに来ただけ◆
この帽子の彼が僕のターゲットだったから6点集まったしそれはもういらない◆―
―俺もいらない・・・!―
―そう言うなよ。それは貸しだ◆いつか返してくれればいい◆それじゃあね―
―・・・借りなんかまっぴらだ!今返す・・・!―
―・・・クックック・・・。断る◆今の君は僕に生かされているよ。
君がもっと殺し甲斐のある使い手に育つまで・・・君はずっと僕に生かされているんだよ。―
―・・・今みたく、僕の顔に一発ぶち込む事が出来たら受け取ろう。それまでそのプレートは君に預ける・・・◆―
リー・・・リー・・・
耳元で、虫が鳴いている。
身体の下の、つるつるした草の湿り気を感じる。
息をすれば、土の匂い。
・・・あれからもう何時間経ったのだろうか。
だけどまだ少し離れた草むらには、あの時ヒソカが置いていったプレートが落ちている。
俺のプレートと・・・ヒソカのプレート。
結局自分の力ではヒソカのプレートを奪うことが出来なくて、自分の無力さに、俺はそのプレートを受け取るのを躊躇っていた。
だからこの何時間かの間に、俺が寝ている間に、通り掛った誰かに盗まれればいいと思った。
けどこういうときばっかり神様は意地悪で、二枚のプレートは誰にも盗まれる事無くこうして未だそこに落ちていた。
俺は悔しかった・・・。
今まで俺は誰かの役に立っていると思い込んでいた。
だけどいざ仲間と離れて一人になってみると、自分一人の力では何も出来ないんだと思い知らされた。
「くっ・・・そぉ・・・!」
無力な自分が悔しくて、もどかしくて・・・
やるせない切なさに涙が零れた。
(独りって、寂しいな・・・)
そうして俺はまた深い眠りに落ちていった。
ミトさん・・・
会いたいなぁ。
早く家に帰って、ちょっと甘えて、ミトさんの腕に抱かれながら眠りたい。
温かい・・・。
髪を撫でるミトさんの手・・・。
ミトさん・・・大好き・・・――
汗ばんだ額に張り付く髪を払ってやる。
真っ黒な硬い髪を触っていると、少年は笑った。
(心配になって様子を見に来たけど・・・幸せそうな顔してるし、心配なさそうだ◆)
ヒソカは立ち上がると、暫くゴンを見つめ、そして気付かれないようにそっと去って行った。
End.