願い
目の前で人がばたばたと死んでいく。
俯くと血塗れの腕。
違う。俺がやったんじゃない!
俺はもう殺しをやめたんだ!
けれど転がる死体の中に立っているのは俺一人だけ。
返り血を浴びた身体。
違う・・・!
俺はこんなことをしたいんじゃない・・・!
許してくれ・・・
俺を許してくれ・・・。
誰に?
誰に許しを請うの?
・・・わからない。
俺は―――。
――キルア・・・――。
――キルア――。
光の中から俺に向かって差し伸べられた手。
これは――。
「ゴン・・・!」
『キルアは俺といて楽しい?』
『あ? そりゃ・・・まーな』
『じゃ、これからも一緒にいよう!
一緒にいろんな所へ行って、いろんなモノを見ようよ。
俺は親父を、キルアはやりたいことを探す旅。
きっと楽しいよ・・・!』
・・・ああ、コイツだ。
俺が許して欲しいのは。
ゴン。
俺はお前と一緒にいたいんだ。
いいのか?
俺はお前と一緒にいていいのか――?
「何ゆってんの? 友達なんだから、いいに決まってるじゃん!」
血みどろの闇の中からお前は俺を救ってくれる。
俺はお前の世界の中に行けるのか?
許されるとは思っていないけれど、お前と一緒にいると、そっちに行けてるような気がするんだ。
ゴンと同じように、希望の中で生きれてる気がするんだ。
願わくばいつまでも一緒にいたい。
例えそれが幻想であっても。
罪と怨念を一生背負うことになっても。
どうか、願わくば。
ただ、俺はそれだけが願いなんだ。
End.