天空闘技場
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設定はゴンが200階でギドと戦って負傷したところ。
2ヶ月という長い期間の中、ある日キルアと喧嘩してしまった。
原因は大した事ではなかったのだけれど…。
ゴンは話す機会が作れなくて結局夜まで仲直り出来ずにいた。
寝ようとしても昼間身体を動かしていないのもあったし、キルアのことがぐるぐると頭を巡ってなかなか寝付けず、気分転換をしようとゴンは部屋を飛び出した。
ヒソゴンです。
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原因はほんの些細な事だったのだけれど…その日キルアと喧嘩した。
そのせいで俺はおかしくなってたのかも知れない。
「こんな夜中に何してるんだい?」
昼間のキルアとの喧嘩が、ゴンを眠れなくさせていた。
寝ようと努力してもぐるぐると思考が回ってしまうのに焦れて、ゴンは部屋を飛び出し、200階の廊下を当ても無く彷徨っていた。
すると背後から聞き覚えのある声に呼び止められる。
「…ヒソカ!」
「子供が夜中に外に出ると危ないよ?」
「あ…あの、俺…」
「ん?」
「キルアと喧嘩しちゃって…眠れなくてっ…って、俺何言ってんだろ…」
「ふうん?それで眠れないんだ」
「うん…」
ヒソカは笑みを深くして手を差し出した。
「え、何?」
「暇ならちょっと僕に付き合ってよ」
ゴンは差し出されたヒソカの手と顔を交互に見比べ、唐突の事にどうして良いか分からず途方にくれた。
「でも、やっぱり俺キルアの所に・・・・・・」
中々手を握り返さないゴンに焦れたのか、ヒソカはゴンの手を強引に取って歩き出す。
「わっ」
勢い良く引かれた腕にバランスを崩しかけたゴンの体を難なく支えたヒソカは、ゴンの抗議を聞く事無く目的の場所へと歩いていく。
これはもう何を言っても聞かないだろうと半ば諦めてヒソカの隣を並び歩くと、ヒソカはそれとなく歩調をゴンに合わせた。それにゴンが気付く事は無かったが。
「ねぇ、どこ行くの?」
「ヒミツ。行っちゃったらつまらないだろう」
自分の行き先をどうしても教えてくれないヒソカにゴンは黙ってついて行くしかなかった。
手を握るヒソカの大きな手が、自分とは違う“大人”を思わせてゴンは密かに顔を赤くした。
「どうしたの?」
「えっ!?
う、ううん、何でもないよ」
慌てるゴンを見てヒソカはニコリと微笑う。
「さ、着いたよ」
連れて来られたそこは落ち着いた雰囲気のバーだった。
闘技場の中でも高い階にあるこの店は、階下のような野蛮な雰囲気は無く比較的静かだった。
二人は壁際の席に座ると、ヒソカは店員らしい女に声を掛ける。
「この子が飲めそうなやつを頂戴◆」
「ええと…未成年のお客様にはちょっと…」
「僕が全部責任取るからさ…★」
躊躇う店員の耳元にそう囁くと彼女はかしこまりました、と奥に消えた。
「俺お酒は…」
ゴンが居心地悪そうにもごもごと呟く。
「ちょっと飲んだらぐっすり眠れるよ☆」
ヒソカはニッコリと微笑んで言った。
つづく
参加者/花峰ショウ/ユピタ様/