手の平
「くそーっどうしてゲームじゃキルアに勝てないんだろ…」
腕に大きな袋を抱えて、ゴンがホテルまでの道を急ぐ。
ため息が止まらない。勝負に負けて、自腹で買ったチョコロボくんは重く感じた。
ホテルまであと100mの所で、ゴンの足がぴたりと止まった。背中に殺気。
ゴンは考えるより早く、その場を跳びのいた。
「いい反応だ」
振り返った先には長身の男。腕をこちらに伸ばして立っている。
「あと0.2秒遅かったら、お前の頭は吹っ飛んでたな」
「ゲンスルー!?」
ゲンスルーの手の平は、実際より何倍にも大きく見える。その手を向けられて、ゴンは一歩後ろに下がった。
「ゲームは終わったよ。なのにまだ俺を狙ってるの…?」
「いや、今のはほんの挨拶だ。何もする気はない」
「ほんとに?じゃあその手を下ろしてよ!」
毛を逆立てて警戒するゴンを笑って、ゲンスルーは手を下ろした。
偶然見掛けたゴンを無視できなくて、かといってなんと声をかけていいか分からず、気付いたら手を出していた。
「元気そうだな」
「え?あ、うん」
戸惑いながら、ゴンが頷く。
「前より強くなったんじゃないか?」
「毎日修行してるからね!」
「お前は素質がある。その調子で頑張れよ」
ゲンスルーはゴンの頭に手を伸ばした。何十人も殺して、ゴンの腕を吹っ飛ばした手。
避けられるだろうか。きっと、嫌悪を浮かべて拒絶される。
しかしゴンは逃げなかった。自分のような殺人鬼に頭を撫でられて、笑顔を浮かべている。
「うん!!じゃあ俺、キルアが待ってるから行くね」
手を振りながらゴンが去っていく。小さな背中はすぐに雑踏にまぎれて見えなくなった。
ゲンスルーは表情を隠すように手の平で顔を覆い、眼鏡を押し上げた。自分はあの堅い髪の感触を一生忘れないだろう。
出来れば、もう一度……ゲンスルーは自分のらしくない思考に笑い、くるりと踵を返してゴンとは別の道を進んだ。
End.
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突然、mimiさんからサプライズで戴きました…!!
ゲンスルー×ゴンですよ!!
原作読んで、萌えは感じていたのですが、カプのストーリーまでは想像がおよびませんでした…!
mimiさん、素晴らしいですm(_ _)m
ゲンスルーの心情で、沢山の人を殺してきた自分の手を拒絶されるだろうか、というところがすごくいいですね。
ゲンスルーってゲームの中では勝利するために冷酷でしたが、私も多分ゲーム外ではそこまで冷酷ではないと思うんですよ。
確かに殺人を目的とした念能力を持っていますが、もしかしたらゲーム内で編み出した物かも知れないし…。
いやでもやっぱりその可能性は薄いかも…(笑)
とにかくゲンスルーにもゴンを好きになって貰いたい…!
その一心ですね!!
思わずご許可を貰って載せてしまいました(笑)
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